「ドミニオン:陰謀」初見&初プレイ感想

 各種TCGその他が忙しくてすっかり忘れてましたが、先週末にドミニオンの追加セットドミニオン:陰謀」が発売されてました。7月5日は土浦のTCG大会でバンダイ系はお休みだったので↑のレンストドラフト記事を書く予定でしたが、「〜:陰謀」の発売をその日の朝に知って急遽、自転車を飛ばしわんぱく小僧で買い求めて来た次第です。

 一応その日の亀城プラザの大会会場で遊ぶ人がいないか誘ってはみましたけれど、暇がないかTCG以外には全く興味ないプレイヤーばかりだったので、結局卓は立ちませんでした。なのでその場ではマクロスクルセイドのフリープレイ見てましたが、これも結構興味深いもので……

 とまぁ、余談はさておき。

・概観

 『陰謀』の内容は、まさしくドミニオンの名を冠するに相応しいものだと思います。単体でも自立したゲームとして遊べる追加セット、ということで何かしら基本セットとは異なる設計コンセプトの土台に立脚した内容になるだろう、とは予測してました。そして実際そうなっている、まさしくTCGボードゲームの長所と本質を重ね合わせた画期的ゲームならでは。

 基本セットのゲーム構成は、基本的にポジティブフローよる蓄積のレースです。それらは場の(限られた特定の)得点手段の獲得へ収束するように設計されていて、王国カードの効果も単純・明確でストレートに強力なものでした。(※このため一部で「インタラクションが弱いゲーム」などど評されもしましたが、それは一面的な見方に過ぎません。例えば→参考文献:「遊星からのフリーキック>ゲーム・論考:ソロプレイ感ってなんだhttp://ter.ath.cx/yusei/yuseiki/%E3%82%BD%E3%83%AD%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%A4%E6%84%9F%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%AA%E3%82%93%E3%81%A0

 対して『陰謀』では、ドミニオンの機軸である「蓄積と体系化による戦略」の枠組みは維持しつつ、
 −戦略の収束点をより多面化し、
 −「インタラクション」ではなく、他のプレイヤーの行動(あるいは行動予測)に対するリアクションの選択肢を幅広く提供した
 という構成を提示しています。これによって『陰謀』環境でのプレイングはより他のプレイヤーの行動を意識した性質が加味される(よりTCG的になった、とも言える)でしょうし、「ドミニオンレシピ」(「遊星からのフリーキック」、http://ter.ath.cx/yusei/yuseiki/%E3%80%8E%E3%83%89%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%AC%E3%82%B7%E3%83%94%E3%80%8F%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%9F)で述べられたような『定石としての戦略』への依存が若干薄れ、よりアドリブな戦術行動が強い意味を持つでしょう。戦術が事前の『戦略・モデル』分析の文脈で想定・言及され得ないというわけではないですが、細部や末端の占めるウェイトが増すことで、トップダウンな視点よりも個別のオブジェクトやタイミングの優位が生まれることになるとは思われます。(※とはいえ、それらも最終的には一種の大きな『戦略』に包括されるでしょうが……)

 『陰謀』は独自のコンセプトに基いたゲームとして固有の魅力・特長を持っており、基本セットと好みが分かれるかもしれません。それはそれでいいでしょう。TCGプレイヤーだろうとボードゲーマーだろうと、どっちが好きになるかは好みや個人のゲーム観次第です。
 ちなみに、両者を合わせた環境でプレイすると、現状で提供されている戦略オプションの大小粗密を完備した状況が発生するため、ゲーム準備をセッティングした時点で戦略選択肢の優位に格差が生まれ過ぎて、過激なゲームになるような気が私には漠然としています。カタンのように『3人分しか選択肢はない』ということにはならないでしょうが、毅基本セットの「魔女」「庭園」のような全員で単一か二者択一の戦略を一斉に追うゲーム傾向になるかもしれない。
 それもドミニオンらしい場ではありますが、競技性はともかく座のプレイヤーにとって楽しめる卓かどうか、という点は一考すべきかもしれません。ゲームへの理解がより作品のゲーム性を引き出せるよう遊び方を考える、と。つくばの私の周囲では(本当の『画期的な新ゲーム』にはよくあるケースですが)ドミニオンはむしろ既存のボードゲーマーには受けが悪く、それよりもずっと多数の新期プレイヤーを獲得したゲームだったので……

・カード雑感

 個別の王国カードについて、数回試行錯誤しつつ遊んだ印象を書いてみます。私自身からあまり詳しくここに書いても仕方ないかな、とも思うので特に人に求められなければ多分続きを書くことはないでしょう。てらしまさんも今後「ドミニオンレシピ」の続きを編纂するかどうかの見通しは微妙、とゲームマーケットではおっしゃってましたし。

 私の覚え書程度のもの、とご理解下さい。

  • 中庭(2)

 個人的にはゲームデザインのレベルの高さに感嘆した一枚です。文章上はごく単純な効果ですが、ゲームの根幹に関わるリソース運用に関連した性質を持っています。現状では最強のドローソースかもしれません。問題はコストが2という点でしょうか。ドミニオンにおいて2コストの買物はそれだけで大きなデメリットなので、概して2コストカードの効果は強く設定されている。だからこんなパワーカードが許容された、とも言えます。

  • 鉄工所(4)

 非常に強い「工房」……私が単に工房好きなだけですけど(笑)。「大広間」を取る動きが強力な(しかし戦略を束縛する)コンボを形成しますが、それによらず銀貨でも屋敷でも、用途さえ考えられていれば何取っても強い。でも『アクションカードを取るとアクション消費無し』という特性がターボアクション構造を自己形成でき、「工房」とは次元の違う、戦略の要として機能するレベルにまで到達しています。
 ※でも、じゃあこのカードを使う方がより効率が良いか、という点は保障できていませんけどね。強力な要であるからこそ、それを介して利用できる行動の価値に従属して、そんなカードです。

  • 交易場(5)

 実際は微妙な圧縮カードです。コストが高い分、テンポを失わない(ドミニオンではテンポを失わない高圧縮カードは高コストでなければならない)のですが、得られるものがしょぼい。とはいえ『陰謀』環境では圧縮に戦略を収束できるほど強力な選択肢が他には少ないので、序盤にのみ利用する方法が一般的になるでしょう。

  • 執事(3)

 器用貧乏な銀貨(何が弱いって、銀貨と同じ3コストであることが一番弱い)。今回登場した選択型カードの中でも特に弱く、最も重要な効果を見ると圧縮カードとしても弱い。しかしコレしかまともなドローソースがない/圧縮手段がない、というときに必要なものを全て賄える性質を持ちます。シチュエーション依存の時価カード、と割り切れば評価できる価値が見えてきます。
 追記:済みません執事舐めてました。これ超強いです。ドローソースとして中庭に次ぐカードパワーを持ちます。ただし使いこなすためにはかなりの練習が必要で、妨害にも弱いし運依存の部分もあるし、正直言って努力に見合うかどうかは疑問です。これも「目に見える『銀貨』以上の何か」でした……うぉ〜ドミニオンすげー。

  • 願いの井戸(3

 どう見ても弱いのは確かですが、ソリティア時に買い物を「願いの井戸」「銅細工師」「属州」「金貨」1枚の「改良」だけにして(あとは7枚の銅貨、屋敷は改良で願いの井戸にした)ひたすらカードカウンティングに徹したら、ヒット率約7割でステロイド並のスピードが出せました。でも疲れるのでもう二度とやりたくはありません。

  • 手先(2)

 超強い。どの効果選んでも強い。2コストカードですし。
 ただ圧縮ドローのためだけにこれ何枚も買うのは明日を見失ってる……それではただの銅貨にしかならないね。

  • 詐欺師(3)

 最強の呪い戦略カード(笑)、という話はさておき。
 −銀貨相当の生産力があり、ゲーム序盤にこそ最も効果がある、という点でまずかなり強力なカードです。
 −中盤以降も攻撃効果には十分価値があります。こいつが野放しだととにかく怖くてあらゆる5コストカードが買えません。それらのカード群に依存する戦略の株価がガタ減りします(それは反面で一種のチャンスでもありますが)。
 −終盤では得点カードに対する影響が被害甚大でしょう。「属州」廃棄→また「属州」取らせる、この行為が既に大変なことになる。
 有効に使うためには、相手のデッキや戦略の観察、場のカードの構成、自分とのインタラクションなどなど、ドミニオンのゲーム構造に対する使用者の理解が問われます。つまりこのカードにハッキリと「強い/弱い」という価値判断を下せる人ほど、このゲームの強者でなないかと推測。

  • 公爵(5)

 属州に代わる勝利得点源の選択肢として十分有効です。取り方の順番は「公領4枚」「公爵1枚(4点)」「公領1枚(3点+1点追加)」「公爵(5点)」「公領1枚(3点+2点追加)」で8枚30点総コスト40を目指すのが最善ではないかと。属州狙いのステロイドと標準性能では同等のスピードだと思われますが、果たして?

  • 大広間(3)

 買い易い得点カードで、圧縮ドローと思えば負担にはなりませんが、それでも買う事が是とならない場合がある点には留意すべきです。
 −デッキ全体の平均生産力が1金未満のとき(それは素直に銀貨買えよ……)
 −メインアクションがアクション消費のあるドローソースのとき
 主に「工房」「鉄工所」「貢物」「貧民街」の存在によって市場相場が変動します。

  • 改良(5)

 非常に強いカードで、アクション・カード消費がないためとにかく無駄にならない。
 −通常は、銅貨を潰すと圧縮になる。
 −もちろん改築効果としても使用可能で、その場合猛スピードでデッキを改造し始める。複数枚使用(同型カードでも可)が推奨。
 −自分を改良して金貨にできる→勝利手段に十分結びつく。
 問題は、改良を主軸にした戦略には十分有効な3〜6コストのカード群が必要ですが、4コスト枠だけが『陰謀』環境では保障されておらず不足している(3「銀貨」5「改良」「公領」6「金貨」)。そこが埋められるかどうかで、このカードの位置が決まりますね。でもやっぱり強い。

 やばい。多分このやばさは「魔女」に匹敵すると思う。
 何故か。このカードを魔女同様、単純にただ使いまわし打ち続けるだけのデッキ戦略を考えてみる……
 −ゲーム序盤はほぼ2ターンに1回、3周目から毎ターン1回のペースでこのカードが飛んでくるようになる。毎ターン1回、3コスト以上のカードを1枚買う前提の戦略は完全に破綻する。何を買っても→「銀貨」→「銅貨」「屋敷」の末路になる。
 −「魔女」同様、非常に低生産力な場にゲーム全体が抑制される場が発生する。破壊工作員戦略のプレイヤーはアクション無しステロイドを続けるから、やはり低得点ペースに留まる。3山切れでゲームは終わり、破壊側VS他の屋敷の得点で勝敗が決まる。
 −これを試みるプレイヤーが複数人いても構わない。というかそれは積極的に肯定される。なぜなら「破壊工作員」のカードが破壊された場合、それを銀貨に替えられる(全くデメリットがない)から。破壊工作員を追従して買う行為が、それに対する防衛策を兼ねている。
 −終局的に、一人の破壊プレイヤーとその他だけになり、その辺で得点競争のデッドヒートが始まる。
 対策は購入数を積極的に増やし、生産力+防衛策として銀貨を集めまくることか。そして屋敷か2コストアクションを買う。正直言ってどっちに有利があるかは、まだ未知数。

  • 橋(4)

 超強い。単体であまりに強く、コンボ的な使い方が否定されるくらいに。圧縮併用の橋ステロイドで属州と公領&公爵のどっちを買えば強いか、はソリティアで試した範囲では、引きの問題という印象でした。

  • 貴族(6)

 +2アクションに使え、ってこと?偵察員戦略ではハーレムよりはこっちの方が強いけど……

  • 偵察員(4)

 得点、もしくは得点兼効果カードを引くのに使うのは、あまり強くない。というか普通に他のドローソース使うべき。圧縮や自分の山の上のカードを操作するのに使うと、ちょっと便利。ただしその場合コスト4がやや高いので、金で買わずに獲得する方法が推奨される。結局は、他のカードに価値が従属しているコンボカードか?

  • 秘密の部屋(2)

 守れてない。

  • 共謀者(4)

 使ってる暇があったらイイナ。

  • 鉱山の村(4)

 「ここはどこだ?」「村だ」
 とはいえずっと強い村。このカードの存在はターボアクション戦略のスピードを底上げできる可能性が高く、『陰謀』の環境コンセプトにも適している。結局のところ、「村」は一般価値の低い割に、使用する戦略では効果の必需性が高く代替性の薄いカードなので、コストが3でも4でも変わらない。これまでも村使うデッキは3,4円に関わらず村も銀貨も買ってたし。気をつける必要があるとすれば、手頃な購入権カードがあるかどうか(『陰謀』では作為的に数が絞られている)でしょうか。

  • 貧民街(3)

 白日くんの貧民街ステロイドはマジで強そうでした。でも詐欺師で銀貨をもっと貧民街に替えてあげてたら悶絶してました。

  • 男爵(4)

 2周目に金貨が買える、というのは実際大きい。ただしその価値をデッキ中で維持するためにはその後「銅貨」「屋敷」「男爵」と順次圧縮していく必要があるわけで……これ自体で回る戦略が発見されない限りは、出口戦略の事前計画は必須。
 あとこれと「鉄工所」は現時点で最強の庭園補助カード。

  • 銅細工師(4)

 上の「男爵」とほぼ同じ問題構図かな……面白いカードだし、こっちはターボアクション戦略に移行した後も価値が残るのだけれど、銀貨を買わず圧縮もないとやはり序中盤での立ち上がりがきつい。何か考えたい。

  • 寵臣(5)

 実は何かと強い。リアクション的な用途で十分強い『銀貨相当の何かそれ以上』。本当の用途は攻撃ではなく「手札を4枚に引き直す」部分。「地下室」「図書館」「銀貨」の全ての用途を賄い、相手の手札攻撃カードへの対策にもなる。そして「破壊工作員」「拷問人」「魔女」など強力攻撃カードの最大の相棒でもある。

  • 拷問人(5)

 私はジーン・ウルフの「拷問者の影」(ハヤカワSF文庫)に出会って以来ずっと拷問者ファンだったので、ゲームマーケットの体験会卓でこれの弱さを見たときはもうがっかりでした……やっぱり弱いです。一応ターボアクションによってハメパターンがありますが、そこまでやるなら「民兵」で十分かさっさと得点買えよ!という話。買う場合があるとすれば、初手が2・5金で5に他に買うカードがないときだけでしょう。多分交易場にも一歩遅れを取ってる……
 拷問人が唯一他の5コスト候補より役に立つ場合は、既に誰かが拷問人を買っている場合です。一人では微妙な拷問人でも、他のプレイヤーに乗っかって続けて使えば効果倍増!(これぞ「拷問者組合」!!まさに外道)。その場合他人の拷問人から自分を守るために「寵臣」を買うべき(というかこっちの方が強い)。あと拷問人が相乗りしすぎてみんな拷問する側に回るとゲームが破綻する。

  • ハーレム(6)

 とりあえずステロイドが終盤に買う金貨か、公爵狙いの時に買う擬似金貨として有効。

  • 貢物(5)

 強い。序盤に撃ったら強いから初手買い候補になりうる。中盤以降も相手のデッキ・戦略を理解していれば強く使える。なによりこれは相手のデッキのカードを捨てさせるのに、攻撃効果じゃない。適当に撃っているだけで、相手は対応策を講じるか苦しむことになる。
 −どの効果も十分有用だが、通常の価値は金>ドロー>アクションの順。これが序盤に強い理由でもある。
 −ステロイドはデッキ内価値を平均扱いする戦略なので、このカードに本来は一番耐性があるはずで、それ故に効果の重み付けが上記のようにステロイドを狙い撃ちしたものになっている、とデザイン思想上は考えられる。
 −そして下客のステロイド対策に使った場合……このカードの効果を最も上手く利用できる自分側のデッキ構造もステロイドになる。面白い話で、つまり「朱に交われば赤くなる」ということですかね?まさに『貢物』。
 −上客が貢物スタートしたら、それに対策(必要あるのか?)するとしたら、有効なのは自分がターボアクション戦略になってしまうこと。+4アクション(しかも不確定)貰ったところで……普通は相手はもう引き返しができない。
 詐欺師と同じですが、ゲームと場に対する理解の多寡で価値が決まるカード。

  • 仮面舞踏会(3)

 TCG流の客観価値で見れば、多分今回の最強カード。あまりに強いから、4コストじゃなく3コストになったのだと思われる。この効果のままコストだけ4だったらむしろより強い。
 圧縮とドロー(テンポ確保)を同時に行い、微弱ながらデッキ破壊効果のオマケつき。しかも攻撃カードじゃない。単体の効果価値総量がさすがに銀貨相当なので「金貸し」には劣るが、テンポ発生の形態がドローである点を考えると、他のカードの支援がなければ回転性質からより強いとも言える。
 唯一の弱点は、本当にたった一つ。銀貨と同コストであることだけ。

Xギャザーvol.1でドラフト

1、はじめに

 レンジャーズストライク仕切り直し第一弾のXギャザー、収録カードの内容も非常に優れたセットですが、開けながら感じたことは今までになくリミテッド(限定戦:ドラフトやシールドなど、製品をその場で開けて出たカードで遊ぶ形式)向きのセット構成だったという点でした。
 これまでレンストでシールドやドラフトを遊ぶ、という試みがファンやプレイヤーの間でもなかったわけではありません。レンストの「引いたカードの約1/3はパワーやコマンドに置かれ、プレイして使用するとは限らない」という基本ルールは、ゲームの当初よリミテッド環境を意識したものとして期待されていましたが、なかなか実際にやってきちんと「面白いゲーム」として成立しうるカード構成のセットは少なかった。リヴァイヴァはややカード種が多すぎ/ストライカー不足だったし、ライダー1,2弾はノーマルのカードパワーやバイク枚数の色偏差が多すぎて……
 9弾から1パック12枚という商品構成に改められたときにこの点を期待したものの、9弾もやや主軸にリミテッドを遊ぶセットには難しい部分があった。しかしXギャザー1ではその問題点が理想的に配慮されていて、かなりブースタードラフトに向いている商品です。現在私は構築戦のないようなど放り出してドラフトの研究していますし、具体的な遊び方の方法も大体まとまってきました。ここでひとまずの成果をご報告したいと思います。


2、ブースタードラフト

 TCGにおけるブースタードラフトの一般的な遊び方はここで概説されています。これまでドラフトをTCGで遊んだことがない方は、ざっと目を通しておくと後を読むのが楽でしょう。

Wikipedia 「ブースター・ドラフト」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88

 要は所定の方法に従ってパックから出たカードを取り分け、ゲームで使用するカードを選びながら自分のデッキを作ってゆく遊び方です。引いたカードを使うシールド戦と違い、カード選ぶ課程をデッキ作りに相当する戦略の一部として再現している部分に、この遊び方の妙と面白さがあります。

  •  準備:

 プレイヤー一人につき、カード12枚入りのブースターを同じセット配分で3パックと、カード4枚入りの自販機パック1つを用意する(カード枚数合計40枚/人)。どのブースターパックを開けるかの順番は各プレイヤーで一致していなければならないので、それは準備の際に決めておく。

  •  ドラフト(カード配分)の手順:

 .まず各プレイヤーはそれぞれ、自販機パックを開けてその内容をそのまま自分のカードとして取る。(※基本的に取ったカードは自分の手元に伏せて置き、その持ち主も所定のタイミング以外では内容を確認できない)
 .各プレイヤーは自分のブースターパックを開ける。
 .その内容を自分だけ見て、中から一枚だけ自分が欲しいカードを選んで取る。残りのカードは伏せて、隣(一般的には、左回りから)のプレイヤーに回す。
 .全員がカードを選び1枚を取り終えたら、回されてきたカードについて3と同様に取り、隣のプレイヤーに回してゆき、パックにあった全てのカードを各プレイヤーで取り終えるまで繰り返す。
 .1パック分のカード全部を取り終えたら、各プレイヤーは自分がこれまでに取ったカードを見て確認できる。
 .全てのプレイヤーが確認を終えたら、2〜5の手順を次のパック以降も繰り返す。ただし、パックを回す巡回は1パックごとに逆回りにする。
 .全てのパックを取り終えた時点で、各プレイヤーは40枚のカードを取り終えて持っていることになる。これをそのまま自分のデッキとしてゲームを始める。

  •  注:

・ブースター×3(計36枚)にあえて自販機パック1つを加えるのは、とりあえずレンストのデッキ最低枚数には合わせよう、というだけのことです。この自販機パック分を他の方法で取る/配分しても、使わなくても、あまり大きな違いはないと思われるので気分の問題と考えて下さい。セット構成の補正のために、これをランダムに用意せずプレイヤー持参や他のセットから余りを用意して取ってくる、という措置を利用するのもアリでしょう。4枚のパックをわざわざドラフトするのは手間が微妙ですが……
・使用カードが40枚ピッタリ、というやり方はバトルスピリッツのドラフトルールを参考にしています。バトルスピリッツではカードの色はコスト軽減に作用するだけで、ゲーム中プレイできない色のカードというものがない。レンストもコマンドやパワーには色やカード内容に関係なくカードを置けるため、引いたカードのうち使用したいものだけを選んで戦うことができる。この種のルール仕様となっているゲームは概して、必要以上に1回の使用カード枚数を増やさずに最低限のカードだけで遊ぶ方が、むしろドラフト/デッキ作りの才が競われる面白い環境になります。コレなら1回市価千円以内で済むし。


3、ドラフトの遊び方いろいろ

 今回Xギャザー第1弾をサンプルにして2回ほど試してみました。人数を集めることができなかったので、二人遊び用の変則ソロモン・ドラフトを2回テストケースとしてやってみました。この二人用ドラフトの方法は、

・お互いにパックを開けたら、中身を見ずにシャッフルして伏せて山にしておく。
・互いに同時で、山の上から2枚を見て、片方のカードを自分で取りもう片方のカードを相手が取るカードとして渡す(この際、相手に渡されたカードは一度見てもいい)。
・これを繰り返して、全てのカードを二人で2等分する。

 というものです。ちょうど相手のデッキの半分(つまり自分の渡したカード)を互いに知っていて、ゲーム中のカード全体の3/4を見ている、という情報構図が一般のブースタードラフトと近似するようなルールにしてあります。

 2回試した際の私側のデッキは、

・1回目

ビーファイターテントウ ディケイド ブレイド
猛毒鎧将デスコーピオ 仮面ライダーカリス
ピンクターボ 2 シャドーチェイサー 2
  コピーベント
仮面ライダーディケイド バイクル 2
レッドワン 2 バトルジャパン
サイレンダーPM バルイーグル
サイレンダーRM ダイナレッド 2
宇宙警察 ソルジャンヌ
  Vマシーン(Vジェット)
ディケイド アギト マンティスロード
シンケンゴールド ウルフアンデッド
ディケイド 響鬼 害気大臣キタネイダス 2
兜折神 2 害地大臣ヨゴシュタイン 2
舵木折神 十面鬼ゴルゴス
レッドパンチャー 3 巨大バッカスフント

・2回目

ビーファイターアゲハ 少女仮面ヘルバイラ 2
ピンクターボ イカファイア
イエローターボ カメバズーカ 2
ルーター 水のエル 2
レッドターボ 害地大臣ヨゴシュタイン
磁雷神 2 十面鬼ゴルゴス 2
  ヤミマル
  ブラックファング
アビスラッシャー ディケイド 響鬼
ディケイド ブレイド 兜折神
  舵木折神
  キングピラミッダーPF
デンジレッド バイクル
レッドフラッシュ バトルジャパン
ダイアナレディ バルイーグル
ディケイド カブトRF レッドファルコン
仮面ライダーザビーMF ソルジャンヌ
仮面ライダーザビーRF ダイナレッド
宇宙警察 Vマシーン(Vジェット)

 私もTCG全般でドラフトの経験はありますから、かなり良くまとまったデッキを作れたつもりです。また、この2回のどちらも勝負後に感想戦として、互いのデッキを交換してまた遊んだりしましたが、使った感触からは割とどちらのデッキもきちんと機能するレベルに達していた、という印象でした。この辺りもXギャザーが無駄カードの少ないリミテッド向き構成のセットである、という証拠になるでしょう。

 ソロモンドラフトの特長としては、使い終わったカードをまた集めて山札にして、同様の手順で再分配することで数回ドラフトを遊ぶことも可能、という点にあります。ブースターパックがなくとも、余っているレア無し自販機パックを再利用して遊ぶ方法にも使えます。レンスト仲間での余興や大会後の余り時間などに、一度試してみてはいかがでしょうか?


4、捕捉:レンスト限定戦での留意点

 今回Xギャザーでのドラフト(及びリミテッド)について説明しましたが、『なぜ過去のセットに比べて、特に遊びやすいと推奨されているか』など、ドラフト戦を立てる際に楽しめるようにするための留意点をちょっとここで述べておきます。

 基本的にリミテッドはノーマル(コモン)カードによる勝負です。特にレンストは1パック中カード枚数比ではノーマルカードが断然多いゲーム(12枚パック中ノーマル10枚)なので、必然的にノーマルカードを中心にデッキが組まれます。ここで過去のセットに比べ格段にリミテッド向け調整がなされた点は、

 −基本4色(単色)のノーマルカード中で、ストライク/ダメージ能力のあるカードがユニットの約半分を占めている。ユニットが単独でプレイヤーへの基本ダメージ能力を持たないレンストにとって、消耗要員であってもストライカーの枚数(特にSユニット)は一定数が必須です。過去のセットではここまでの高比率がなかった/色ごとに寄っていたために、バランスのいい環境になりませんでした。

 −合体ロボやビークルなど、他のカードに用途が依存しているカードが少ない。もしくはレアカード以上に集中していて、パック中での枚数や出現率は小さい。ストライカーSユニットが一見して多そうなライダーセットは、実際には主要カードがノーマルレア以上だったり、ノーマルカード中ではビークル比率が高すぎたり、しかも色偏差がセットごとに激しい……という問題が多かった(特に緑!)。それが戦隊側のセット特徴と混合されて、バランス良く緩和されたのが今回のポイントだと思われます。

 −多色カードの導入。レンストがパワー/コマンドに置くカードの内容を問わないゲームであるとはいえ、デッキ中の色をある程度揃えてコマンドに置けるようにすることは重要です。その際、デッキ中の実質色キャパシティを広げる意味で、多色カードの存在はリミテッドにおいて大きな役割を持っています。構築戦だと多色コマンドは相手のパワーを加速するためテンポ上の不利益が大きい。しかしリミテッドの戦略はむしろカード損得が重視される世界で、1枚のカードで2色分のコマンドを賄えるなら自分はカード1枚得・相手は1パワー分でカード1枚得、しかしそれでコマンドを確保でき自分の死に札を活かせるのなら、ずっと大きい利益を得られるケースも多い。相手の動きと自分のデッキをよく考えて、恐れずに多色カードをドラフトしてみて下さい。

 この種のリミテッド適性が少ないゲーム/セットでは、何らかの補正ハウスルールを講じない限り無理にリミテッドを試みようとすると、必需カードを集めるためにより多くのパックを開けることとなり、結果として「機能する最低限のデッキ環境」を作るはずがほぼ限定構築戦相当までカードが十分集まっていた、という結果になったりします。それではほとんどドラフト方式で遊ぶ意味がありません。やはりちょっとカードが足りないぐらいの状況を技術で工夫して遊んでこそのリミテッド/ドラフトなのです。


 あとは、Xギャザーがその点で相当配慮されたセットであるとはいえ、若干の使い道の無い/非常に少ない『罠カード』と言うべきものが若干存在します。一応ここに挙げておきますので、レンストやドラフトの経験が少ない人には事前に一言説明しておいた方がいいでしょう。

XG-011 巨大バッカスフント 追加コストの「バッカスフント」がセット中にない。一応ブラスト能力によって出すことは可能。
XG-029 アバレブラックAM 追加コストの「アバレブラック」はスターターのみの再録カード。普通に7パワーでなら出せる。
XG-030 アバレキラーAM アバレキラー」が上記と同様。
XG-036 舵木折神 特徴「ブルー」を持つカードこのセット中で「ブルーターボ」のみ。かなり出しにくい。
XG-040 虎折神 追加コストのない特徴「侍」を持つカードはこのセット中で「シンケンゴールド」(SR)のみ。滅多に出せない。
XG-037 ダイテンクウ XG-039 テンクウシンケンオー 上記の合体パーツ状況から、出すのはまず無理。
XG-081 磁雷神 特徴「忍者」を持つカードはこのセット中で「仮面ライダーZX」(NR)のみ。非常に出しにくい……が、青緑の多色カードなので、実はコマンド用カードとしてはかなり強い。

 実は「ブルー」「侍」「忍者」などは過去のセット中(9弾「蒼九の翼」など)で、ノーマルカードに多数収録されているケースがあります。そこを配慮して、先述のブースター方式での一部パックや自販機カード分を、対応したセットから用意したりすると、より使用不能カードの枚数を減らせるかもしれません。私もこれから今後のセットや、過去のセットのリミテッド適応性については暇をみて分析を進めてゆきたいと思います。

第4弾「龍帝」初見感想

  • ドラフト環境

 1,2,3弾(あるいはその組合せ)を利用したドラフト戦も定着してきたと思われますが、多分3弾の戦略的なドラフト向けの構成特性(やや『個々のカードを意識して使わないと弱い』)に配慮してか、今回は次のような構成になっています。

・CUの色枚数配分は、赤紫緑白黄:≒それぞれ1:ほぼ
・各色でネクサス&マジック合計枚数を1としたとき、スピリットは2よりやや少ない。(3弾以前に比べスピリット比率がやや下がった)
・スピリットのコスト域は、1〜3コストがかなり多く、5以上はCUにはほとんど無い。実質高コストカードはレア以上の専売特許。それを補完するために一応低コストスピ対策カード(構築戦環境も睨んで)もいくつかある。
高コストレアは構築ならコントロール、ドラフトなら戦略基点になりうる、マルチアドバンテージカードの傾向がある。中コストの転召レアも含めて、3弾のレアに比べると格段に使いやすくなった。
・複数の種族を持つスピリットが増加。
マジックは使い勝手のいいものが増えた傾向。メイン効果が状況依存でも、コストが低く軽減が多いため、1,2弾並スケールのBPパンプ効果がかなり有用。
ネクサスには種族キーワード能力関連の効果と、一般効果のミックス傾向がある。このため能力・種族戦略の採択にリスクが減った。
・他の色のキーワード能力や種族をサポートするカードが増えた。構築戦だけでなく、自ずと多色になるドラフト戦でも便利。

 スピリットとマジックのカード編成が見直されたことで、単純に単色デッキや低コストデッキを狙うのでは難しく、キーカードにつなげていく戦略的なデッキを目指したピックが期待できる。その少数選抜スピリットをマジックBPパンプで補う、と。

 パック編成は、

・別に全部4弾でもいいでしょう。しかしCUのカードバリエーションが少なく、考えなしにやると単調なレアゲー傾向になるかもしれません。
・色編成とカード種最大化を目指すなら、1弾1、2弾1、3弾1、4弾2かな。順番はとかにすると、同パックの回り順をずらしつつ、ピックの選択肢を常時広めに取れると思います。この逆でも一応OK、やや青の存在が微妙に決め打ち傾向になりますが。
・もちろん全ての弾ではなく、4弾と特定の弾の組合せでもいいです。とにかくドラフト環境としては4弾それ自体はやや無個性で、他の弾・色・戦略の土台・補強として機能するセットと考えるとイメージしやすく、バランス調整の際に助けになるかもしれません。


 あとは構築戦に関連したプレビューTipを例の場所に置いておきましょう。

たまには簡単な更新も

いつもフォーマルな内容にこだわり過ぎだ、とよく知人たちにも言われてますし、たまにはこんな時事速報気味のレビューも。

昨日近所のカードダス自販機でバトスピの4弾「龍帝」多少買ってきました。一応まだ公称発売日前なので、具体的なカード名は極力出さないように、概観とドラフト戦運営へのアドバイスということで。

TPJ-024:"Merlin Prismriver/Prismriver Three Sisters"「メルラン・プリズムリバー/プリズムリバー三姉妹」

Card type Character
Card name Merlin Prismriver/Prismriver Three Sisters
Cost
Team Gensokyo
Visible / Hidden Visible only
  Flight, Ranged
ATK
DEF
Card text  Reservist
  Merlin Prismriver can attack only exausted characters.
Flavor text huh? I thought Merlin was leading the band.
Card number TPJ-024

TPJ-010:"Hoan Meirin/Chugoku"「紅 美鈴/中国」

Card type Character
Card name Hoan Meirin/Chugoku
Cost
Team Gensokyo
Visible / Hidden Visible only
  Flight
ATK
DEF
Card text A character protected by Hoan Meirin can't be attacked.
  (A)→Hoan Meirin gets +2/-2 this attack.
Flavor text Don't mess with her.
Card number TPJ-010