VSシステムセット紹介その2・Marvel Team-Up

今回のMarvel Team-Upはマーベル通算第7のセット、VSシステム通算では13番目のセットになります。主要な収録チームはWeb of Spider-Manセットから再録のスパイダー・フレンズ、シニスター・シンジケート、Marvel Knightsセットからの再録のアンダーワールド、そして新チームとしてMarvel Defenders(マーベル・ディフェンダーズ)とWild Pack(ワイルドパック)が登場します。


セット名のMarvel Team-Upというのは、マーベルで過去に存在したコミックスの誌名が起源です。その名の通り、毎号マーベルのキャラクターがシリーズの枠を超えてチームアップし共闘するという趣向の作品でした。毎回違うヒーローたちのコンビを主役に据える構成でしたが、人気のせいでスパイダーマンが出演することが多かったため、後期はほとんどスパイダーマンのシリーズ誌と目されている面もあります。今回スパイダー・フレンズが収録されているのも当然といったところでしょうか。また、自分の雑誌を持たないマイナーキャラクターに光を当てるという側面もあったシリーズだったあたりに、マイナーキャラの寄り合い所帯っぽいチームのディフェンダーズが収録されているのも納得できます。


Marvel Team-Upで導入されるゲームの新ルールは、大きく3点あります。

  • Dual Loyality

Dual Loyalityは2つのチーム属性を持つキャラクターが持つ能力で、「忠誠(Loyality)」の複数チーム版です。Dual Loyalityのキャラクターは、そのキャラクターの持つ2つのチーム属性を、どちらもあなたのコントロールするキャラクターが持っているときのみリクルートできます。
このようなギミックを持つカードは過去にもありましたが、今回キャラクターの能力として用語化されることになりました。今回は主要チーム4つの間の全ての組み合わせにDual Loyalityキャラクターが存在するため、その存在はチームアップデッキには重要な戦略上のオプションとなるでしょう。

  • Pay X ATK/DEF(ATK/DEFをX点払う)

これはキャラクターの持つ能力のコストの新しい概念です。ATKもしくはDEFを払ったキャラクターは、そのターン中払った点数だけその能力地にマイナス修正を受けることになります。ATKやDEFがマイナスになるように、つまり現在の数値より多い値は払えません。攻撃中などでの一時的に上がったパンプの値でも払うことはできます。

  • ブーストコストの多様化

キャラクターのブーストのコストに、リソースポイントの数字以外の形でもコストが書かれるようになりました。この場合でも基本的には扱いは同じで、キャラクターをリクルートするときに、ディスカードなどの指示されたコストを払えば
記載された効果を得ることができます。


今回の主な収録チームは、メイン4+サブ1の5チームという構成になります。

  • Spider Friends(スパイダー・フレンズ)

Web of Spider-Manで登場した、ご存知スパイダーマンのチームです。スパイダーマンは基本的にはソロヒーローのキャラクターですが、多くの協力者やスーパーヒーロー仲間を持っており、彼らが収録されているのがこのチームです。前回のセットでは、主にスパイダーマンのシリーズ中で登場したサブキャラクターが中心でしたが、今回はMarvel Team-Upだけあって、マーベルユニバースの主役級ヒーローがスパイダーマンとコンビを組むために多数ゲスト参戦しています。
スパイダー・フレンズのチーム戦略は、旧セットでの特徴をそのまま引き継いで、DEFパンプ・回避・相手をエグゾーストさせる・敵の効果の対象にならないなど防御的な方向性を持っています。高コストキャラクターのコントロール力がかなり強力なので、構築戦ではStallデッキ的な動きが良さそうです。

  • Marvel Defenders

ディフェンダーズというのは、まず70年代にX-Menを引退したアークエンジェルアイスマン・ビーストの三人と新進ヒーローのゴーストライダーとナイトホークの5人によって結成されたチームです。この時のディフェンダーズはあるユニークな特徴を持ったヒーローチームで、メンバーがフリーランス制だったため様々な経歴のヒーローが状況に応じてチームに加盟しては去っていくかなり編成が流動的なチームで、決まったチームを持たないソロヒーローたちの仮宿として様々なキャラクターを抱えていました。
初代ディフェンダーズはその後メンバーの増えすぎで解散してしまいますが、90年代になって、シークレット・ディフェンダーズという名で復活します。今度のチームはDr.ストレンジをチームリーダーに、ハルク、サブマリナー、シルバーサーファーとマーブルユニバース屈指のパワーキャラのチームとして結成されました。彼らを中核に、旧ディフェンダーズのメンバーを含め様々なヒーローを臨機応変に加えながら、ディフェンダーズは今日も地球を守る戦いを続けています。
ディフェンダーズのチーム特性は、大部分のキャラクターがSubstitute(サブスティチュート/交代)とバックアップを持っているということです。サブスティチュートを持っているというのは、ディフェンダーズのメンバーシップ特性をうまくゲームシステムで表しています。様々なバックアップ能力を持つキャラクターを状況に合わせてサブスティチュートで出し、防御プロットツイストで守る。攻めるときにはバックアップ能力でキャラクターの戦力を一体のアタッカーに集中させて攻撃!というのが基本戦術のようです。バックアップを使ったキャラクターをそのままサブスティチュートはできない(サブスティチュートでリムーブできるのはレディ状態のキャラクターだけです)ので要注意。

シニスター・シンジケートもWeb of Spider-Manからの再録チームで、スパイダーマンの悪役たちの集団です。名前の由来は、スパイダーマンに対抗するためにDr.オクトパスが悪役を集めて結成したチーム「シニスター・シックス」からきています。
シニスター・シンジケートの今回のチーム戦略は、ライフを払いながらキャラクターのATKをどんどんパンプするビートダウンです。ライフどころか自分のリソースさえコストとしてKOしていきます。ライフを払うのも低コストのキャラクターでウィニー展開するのも旧セットで見られた特徴ですが、今回のものはそれに輪をかけた激しいビートダウン戦略になっています。激しいライフの消費っぷりは下手をすれば自滅してしまいかねないほど。恐るべしシンジケート……

アンダーワールドはMarvel Knights(マーベルナイツ)に登場したチームで、マーベル世界の悪魔、吸血鬼、アンデッドなど超自然的存在を集めたチームです。マーベルナイツで収録されたときには、悪の存在だけでなくヒーローも含めた割とニュートラルなチーム構成でしたが、今回はディフェンダーズの敵役ということでDr.ストレンジやゴーストライダーに登場した悪役が中心になっています。
アンダーワールドの基本のチーム戦略は前回と同じくKOパイル利用です。アンダーワールドのカードはコストとしてKOパイルにあるキャラクターカードを消費する性質のものが多いため、むしろ積極的にデッキを削ってKOパイルを増やさなければなりません。
今回は加えてキャラクターをリカバーするカードが増えました。潜伏が初めて登場したマーベルナイツの時と異なり今回はキャラクターの約半分は潜伏−選択式を持っているため、リカバーしたキャラクターを潜伏に送るなどのフレキシブルな戦略がとれそうです。

  • Wild Pack

そしてサブチーム扱いで今回登場したのがワイルドパックです。ワイルドパックというのはマーブル世界の南洋の島国シムカリアが組織している傭兵部隊で、主に超人犯罪者の取り押さえ役として国やスーパーヒーローのお手伝いや雑用仕事をしています。リーダーのシルバーセーブルは様々なスーパーヒーローと面識があり、時には(年中金に困ってるスパイダーマンなど)スーパーヒーローたちをメンバーに雇ったりすることもあります。
ワイルドパックの特徴としては、ワイルドパック以外のチームとチームアップしていると強くなるカードが多いです。ワイルドパック以外のチームのカードをコストにしたり、他のチーム属性を得ていると強くなったりします。独自のドローソースも持っているのでチームアップ先としても魅力的な存在だといえます。


といった感じで、おおまかに各チームの特徴と単独での戦略を見てきましたが、やはりタイトルにMarvel Team-Upとつけるだけあって、チームアップ戦略も十分に魅力的な環境です。Dual Loyalityのキャラクターはどれも強力ですし、チームアップをコントロールしているとプレイできる専用のプロットツイストもきちんと各チームにあります。チームアップ戦略のバリエーションを考えれば、例えば普通にカーブするシンジケートとか、単チーム戦略とは全く異なったデッキが組めそうです。構築戦では色々な試しがいのあるセットだと言えるでしょう。