Stallデッキ

それでは8コスト、さらに上の9コストなどのキャラクターは本当に役に立たないためデッキに入れなくてもいいのでしょうか?しかし、標準ゲームでは使われないカードである分だけ、VSシステムにおいて8コスト以上のキャラクターは非常に強力なカードとしてデザインされています。となると、あえてそれを使おうとするデッキがあってもいいはずです。
例えば9コスト域にはこんなフィニッシャーがあります。どれも出ればゲームが終わる程の強さです。

  • Professer X/Mental Master(X-Men、8コスト)

1ライフを払う→対象の対戦相手は手札を1枚ディスカードする。この能力は戦闘フェイズにのみ使用できる。
ブースト1:Professer Xが場に出たとき、対戦相手がコントロールするコストが8以下の対象のキャラクターをあなたのフロント列に移動させる。

  • Imperiex(無所属、10コスト)

Imperiexをリクルートするコストは、あなたがキャラクターをコントロールしていなければ1低くなる。
あなたの攻撃ステップの開始時に、他の全てのキャラクターをKOする。

  • Onslaught(無所属、9コスト)

あなたの攻撃ステップの開始時に、チーム名を一つ選ぶ。そのチームのキャラクターを全てスタンさせる。


どうです?びびったでしょ?
こういったカードを使うデッキは様々な方法で勝負を引き伸ばし、8〜9ターンまでゲームを続けようとします。このような戦略のデッキをStallデッキと呼ぶようです。とはいってもStallデッキと名乗ったデッキで有名なのはX-Stall(X-Menデッキ)とGLEE-Stall(グリーンランタンとエメラルド・エネミーズの混成デッキ)ぐらいなので、この呼び方がどれだけ一般的なのかは良くわかりませんが。


ゲームを8〜9ターン目まで持たせるために、Stallデッキは様々な手段を用います。

  • 支援を付ける

VSシステムのプレイヤーならおなじみの防御手段です。ですが普通の2体のキャラクターが前後に並ぶ防御フォーメーションでは、サポート列のキャラクターに支援がつきません。ここではさらにプロットツイストや装備品の使用、あるいはオフカーブ戦略でキャラクター数を増やし支援用のキャラクターを展開するなどの、積極的な支援戦略を指します。先程の普段支援が付けられないキャラクターに支援を付けることができれば、ブレイクスルーダメージは抑えられるはずです。
GLEE-Stallだけでなく他のコントロールデッキでも、Catcher's Mitt(キャラクター全員に支援を付ける装備品)はよく使われているカードです。

  • ライフを得る

ある意味、最も直接的な防御戦略になります。10点程度のライフを得られる手段があれば、ゲームは少なくとも8ターン目まで続くはずです。X-Menにはディスカードしたキャラクターのコスト分のライフを得られるロケーション「X-Corporation」があり、X-Stallデッキではこれで余った高コストキャラクターをディスカードしてライフ回復をしていました。

  • 相手のキャラクターをエグゾーストさせる/レディさせない

攻撃が起きなければキャラクターがスタンすることもなく、その分ダメージも抑えられます。そしてキャラクターに攻撃をさせない最良の方法は、そのキャラクターをエグゾースト状態にしてしまうことです。最も都合が良いのは、相手がイニシアチブを持っているときにその攻撃ステップ中にエグゾーストさせることですが、これには結構高いコストがかかります。VSシステムの敵キャラクターをエグゾーストさせる効果のほとんどはこちらの攻撃ステップ中にしか使えない(つまり、こちらがイニシアチブを持っているターンのみ)ようになっており、使い勝手がやや微妙ですが、それでも相手の攻めを食い止める役には十分立ってくれます。
また、キャラクターをレディさせない効果も十分強力です。こちらのイニシアチブのあるターンに使えば、次の相手のイニシアチブのターンにそのキャラクターは終始エグゾースト状態で攻撃に参加できなくなるわけですから。

  • ATKよりもDEFが標準より高いキャラクターを用いる

地味ですが、これも有効な戦略です。DEFが高いキャラクターをスタンさせるために、普段なら単体アタックで済むはずのところをチームアタックさせられれば、それは相手のキャラクターを余分にエグゾーストさせているのと同じ結果になるわけです。また、ATK強化のカード・プロットツイストを使わせることができれば、それはそれで将来のブレイクスルーダメージを減らせたことになるので結果オーライということになります。

  • 相手のキャラクターを手札に戻す/スタンさせる/除去する

攻防を兼ねた、究極の防御戦略と言えるでしょう。VSシステムのキャラクターの中には、アクティベイト能力で格下のコストのキャラクターをスタンさせる能力を持ったキャラクターがいます。このようなキャラクターこそStallデッキのような防御的なデッキで本領を発揮するカードです。相手の攻撃ステップに壁として立てておけば、能力起動と相手の攻撃で2体の敵を道連れにすることができます。
また、相手のキャラクターを手札に戻すのも強力な戦略です。Reign of Terror(Marvel Origins、合計コスト3以下のキャラクターを手札に戻すプロットツイスト)はCommon EnemyなどのDr.ドゥームが入っているコントロールデッキでは必須のカードです。また、X-Stallデッキは強力なリセットカードであるJean Grey/Phoenix Force(X-Men、8コスト、KOすると全てのキャラクターを手札に戻す)があるために安定して9コストのフィニッシャーに頼ることができました。


ざっとこんなところです。一見そのターンの攻撃では損な取引をしているように見えるカードでも、実際は最終的にライフ損失を抑える結果を持つこともあります。要はいかにゲームを長引かせられるか、です。序〜中盤の損も8〜9コストの最終兵器が出せれば楽々取り返すことができるのですから。