VSシステムセット紹介その1・Marvel Origins

これから少しづつ、VSシステムがこれまでに発売してきた各セットの紹介をしていこうかと思います。Fireballさんで公開されているカードリスト日本語訳を見れば一発で丸分かりという話はありますが……
ただ、VSシステムを始めたのは日本語版の発売からで、日本語版のカードしか買っていないので昔のセットのカードや現在のセットにちょっとだけ収録されている旧チームのカードがよく分からない、という人もいるようです。そこで、こういう企画も初心者の方には役に立つかな?と思って始めてみました。
新しいレギュレーションとしてシルバーエイジも始まったことですし、日本語オンリーのプレイヤーにも英語版のカードについて興味を持ってもらえれば幸いです。


第一回目のセットはVSシステム最初のセット、Marvel Originsです。
ゲームの基本セットであるMarvel Originsでは、VSシステムの基本となるカードが収録されました。プロットツイストも、ゲームの基本的な効果ものから、応用的な効果のものまでバランス良く入っています。
現在は絶版になっており、まだ在庫のあるセットと比べるとプレミア価格がついています。シルバーエイジ環境からは外れていますが、昔の強力なカードの中にはまだゴールデンエイジ環境で現役のものも数多くあります。また、収録チームのうち、X-Menブラザーフッドファンタスティック・フォー、ドゥームは最近の新セットでも取り上げられ、デッキの幅を大きく広げています。
また、同時発売された構築済みスターターとして、「X-Men VS Brotherhood」も出ています。このスターターは非常に強力なアンコモンが多数入っており、お買い得な商品と言えるでしょう。そりゃもう、VSプレイヤーなら4個買ってしまうくらい。


このセットで登場した主なチームは以下の5つです。

マーベル・ユニバース(マーベルのキャラクターの活躍する、マーベルの諸作品の共通世界)の地球で最大の世界的問題となっているのが、ミュータントの存在です。遺伝子の突然変異によって、普通の人間とは異なった能力・身体的特徴を持つようになった新人類・ミュータント。彼らは日々新しく生まれており、増え続けるその人口は普通の人間に恐怖・嫌悪の目で見られており、両者の間に対立を生み出しています。
この問題を解決するために立ち上がったのが、プロフェッサーX率いるミュータントヒーローチーム、X-Menです。人類とミュータントの平和的共存を願う彼らは、そのために人類やミュータントのテロリストたちと戦いながら、その理想を実現するために活躍しているのです。
X-Menはかつては秘密組織として活動していて、表向きはプロフェッサーXの運営する私立学校「恵まれし子らの学園」に集う子弟という偽装をしていました。しかし、現在は自分たちがミュータントであることを公表し、世界規模でミュータントの抱える問題に対応するための活動を公然と行っています。


Marvel OriginsでのX-Menのチームとしての特徴は、低コスト域キャラクターと超高コストキャラクターの強さが目立つこと、キャラクターをリカバーさせるカードが豊富なこと、などです。ゴールデンエイジ環境ではX-stallと呼ばれる高コストキャラクターを主力にしたデッキが成績を残しています。

X-Menがミュータントと人類の平和的共存を説いている一方で、悪の道へと堕ちたミュータントの数も少なくありません。あるものは単に自分の能力を使ったスーパーヴィラン(超人犯罪者)として、またあるものは自分を虐げた人類へと復讐するテロリストとして、社会と敵対する道を選んだ者も多いのです。ブラザーフッドはこれらの悪のミュータント達のチームです。
その中でも最大の勢力はマグニートーに率いられたブラザーフッド・オブ・イビル・ミュータンツ(ブラザーフッドというチーム名もここからきています)でしょう。かつてプロフェッサーXと志を同じくする仲間だったマグニートーは、やがて彼と袂を分かち人類最大の敵となる道を選びました。「ミュータントは、人類と戦って自らの権利を勝ち取らねばならない」というマグニートーの主張に同調するミュータント達は数多く、彼らは何度もX-Menと戦い続けてきたのです。


Marvel Originsでは、まずブラザーフッドには強力な攻撃修正を与えるカードを生かして、速攻でビートダウンするウィニーデッキがありました。またKOパイルにあるキャラクターカードを回収するAvalon Space Stationと、パワーアップしたキャラクターを大幅に強化するLost Cityの二つのロケーションのコンボは、パワーアップを中心とするデッキで良く用いられています。

  • センチネル(Sentinel)

ミュータントに対して、人類が何も手を打ってこなかったわけではありません。センチネルはミュータントを脅威と考える科学者、ボリバー・トラスク博士によって作られたミュータントハンターロボットです。しかし、人類をミュータントから守るために生み出されたセンチネルは、自ら独自の意思を獲得し、人類に対して反旗を翻しました。
センチネルの反乱は、皮肉にもX-Menの活躍によって打ち破られます。ですが、その後センチネルの技術は流出し、様々な反ミュータント主義者の手に渡るようになってしまいました。そして、今でも世界のどこかで最新型のセンチネルが秘密裏に量産され、ミュータントを狩り立てているのです。


センチネルの特徴は、キャラクターのほとんどが様々な型番のセンチネルで、アーミーであることです。そのためデッキ、状況に合わせて自在なカーブの展開をすることができます。センチネルによるカーブデッキ、通称カーブセンチネルは長らくVSシステムのメタゲームの一角を担ってきた安定デッキです。
また、アーミーデッキであるということは、同じキャラクターカードが何枚もデッキに入っている訳ですから、パワーアップも簡単!加えてアーミーのセンチネルをKOパイルから回収するカードもあります。そしてセンチネル軍団の首領バスチオンはセンチネルのカードをディスカードして対象のキャラクターを強化する能力を持っており、センチネルデッキは余すことなくアーミーカードを使い回すことができるのです。

天才科学者リード・リチャーズによる宇宙ロケットによる科学調査、しかしその結果未知の宇宙線に曝された彼を含む4人はそれぞれが独自の超能力を得て地球に帰ってきました。彼ら4人は新たに得た力を世界の平和のために用いることを誓い、ここにファンタスティック・フォーを結成することにしました。マーベル・ユニバース最初のスーパーヒーローチームの誕生です。
Mr.ファンタスティックこと地球最高の科学者リード・リチャーズがリーダーを務めるファンタスティック・フォーは、宇宙からの侵略者、異次元からの脅威、地球を襲う未曾有の災害など、他のスーパーヒーローが解決できない様々な危機から地球を救ってきました。パワーでは他のスーパーヒーローチームに見劣りして見えても、やはり地球を守る上で欠かせない存在なのです。


ファンタスティック・フォーのキャラクターには、メインメンバーの4人だけでなく、様々な事件で彼らに協力したスーパーヒーローたちも収録されています。
ファンタスティック・フォーの特徴は、まず装備品を中心にしたチームであることです。装備品にボーナスを与えるカードや、強力な専用の装備品も存在します。
また、様々なコンボ的効果を持つチームとしても知られています。強力な装備品を使ったものからロックデッキまで、テクニカルなことはお任せ!といった感じでしょうか。
より一般的なデッキの形としては「コモン・エネミーズ」と呼ばれる、後述のドゥームとチームアップしたコントロールデッキが知られています。ファンタスティック・フォーの優秀キャラクター群と、ドゥームのコントロール力が合わさった強力なタッグです。

  • ドゥーム(Doom

かつてリード・リチャーズの学友でもあったラトベリアの専制君主にして天才科学者、Dr.ドゥーム。自らの実験の失敗により顔に傷を負った彼は、その責がリードにあると信じ、復讐を誓いました。今や鉄の仮面と強力なアーマーに身を包んだ彼は、常に自らの野望である地球の支配と究極の力を求めて日々策謀をめぐらせており、幾度となくファンタスティック・フォーを始め様々なマーブル・ユニバースのヒーローたちと戦いを繰り広げています。


ドゥームはDr.ドゥームとその配下たちによるチームです。しかし、主力となるのはやはりDr.ドゥーム自身と、Dr.ドゥームをコントロールしていると使用できる様々な彼専用のカード。これらのカードの持つ強力なコントロール力はかなりのものです。それは先述の「コモン・エネミーズ」デッキだけでなく、ドゥーム単独でのコントロールデッキをも成立させるほどです。