VSシステムセット紹介「Marvel Evolution初見レビュー:システム概観編」

 金曜日に海外通販からVSシステム新セット「Marvel Evolution」が届いたので、数BOX開けてしょうさんと白日君を交えてシールド戦をしてみました。今回はゲーム展開面でかなりダイナミックな進化があったので、結構新鮮な面白さもありそれでいてVSシステムとしてのバランスも保たれていますから、アッパーデックのデザインチームの水準の高さを改めて実感させられました。

「Marvel Evolution」はX-Menの作品世界の中でも、派生して独立人気シリーズとなった「Xフォース(X-Force)」「Xファクター(X-Factor)」「エグザイルス(Exiles)」などを中心にしています。VSでの既存チームであるX-Menブラザーフッド属性を持つキャラクターは多数いますがそれは単にサブチーム属性として持っているだけで、今回チームシステムとしてサポートされているのはその内部集団である上記の新チームなどという感じです。ちょうど「Marvel Universe」でアベンジャーズの内紛を扱っていたので誰も彼もアベンジャーズS.H.E.I.L.D.だった構造を、X-Men中心で再現した印象です。
 原作のエピソードについては未見のためよく知らないのですが、「House of M」「Mutant Messiah」「Mission CompleX」など長編クロスオーバーを扱っているようです。カードの内容から分かる範囲では、ケーブルが保護しているミュータントの救世主を巡って、X-Menの各チーム・ミスター・シニスター率いるマローダーズ、アポカリプスの四騎士らが時空とパラレルワールドを股にかけて激戦を繰り広げているようです。
 こっちの世界ならX-Menの仲間でも、あっちの地球だと敵だったり、またこっちの世界にきたら逆に仲間になっちゃったり、そんな大混乱もX-Men伝統のネタですからファンにはお楽しみな部分です。知らない人にもあのキャラがこんなになっちゃてギョエー!!みたいなオドロキを感じていただければなによりでしょう。


 今回ルール面では、3つの新しい能力が登場しています。『Energize(エナジャイズ)』『Hunter(ハンター)』『Shift(シフト)』です。

  • エナジャイズ(Energize)

 エナジャイズはルール的には比較的単純な能力です。正確な能力の効果は「このキャラクターが攻撃されるたびに、このキャラクターをレディする」となっています。当然この能力持ちのキャラクターはアクティベイト能力など、レディする効果を有効に利用できるキャラクターばかりです。
 エナジャイズは誘発効果なので連鎖に乗りますから、レディ状態のエナジャイズ・キャラクターが攻撃されたとき、攻撃宣言が確定して効果を連鎖に乗せてから、アクティベイト効果を使用することも可能です。

  • ハンター(Hunter)

 ハンターを持つ自分のキャラクターが場に出たとき、そのプレイヤーは対戦相手のキャラクターを一人選んで、そのキャラクターを「ハント状態(Hunted)」にすることができます。場には複数のハント状態のキャラクターが存在できますが、1人のプレイヤーがハント状態に指定できるキャラクターは常時1体だけです。ハント状態はそのキャラクターが場を離れるか、新たなキャラクターが同じプレイヤーに指定されて解除されるまで続きます。
 ハント状態自体にはそれだけでは何の効果もありませんが、多くのハンターキャラクターはハント状態のキャラクターに対する何らかの能力を持っています。直接影響を与える効果以外にも、ハント状態のキャラがいる間有効な能力など、相互に連携しシステムとして機能するようにデザインされたカードも多いようです。

  • シフト(Shift)

 今回の最大の目玉がこのシフトでしょう。簡単に言えばシフトは、キャラクターのコストを分割先払いできる能力です。
 シフトは3つの能力に分かれて構成されています。

  1. :1点以上のリソースポイントを払う→このカードを手札から『シフト状態(Shifted)』としてゲームから取り除き、払ったリソースポイントの数だけシフトカウンターを乗せる。
  2. :1点リソースポイントを払う→このカードの上にシフトカウンターを1個乗せる。この能力はこのカードがシフト状態のときのみ使用可能。
  3. :X点のシフトカウンターをこのカードから取り除く→あなたがX枚以上のリソースをコントロールしているなら、このカードを場に出す。Xはこのカードのコストである。この能力はあなたのリクルートステップにのみ使用可能。

 つまり、後のターンで出す予定のカードのリソースポイントを、前のターンに先払いしておく能力です。結構ゲームバランスを破壊しそうな効果ですが、場に出るときにリソース枚数の制限がある(つまり普通にそのカードが出せるターンまでは出せない。抜け穴は色々ありますが……)ので、なんとかバランスを保ってはいます。普通に使っても戦略的に強力ですが、シフトカウンターを操作する効果もあるのでシステム利用デッキではクリーのプレス並みの展開ブーストを実現できそうです。また、シフト状態のとき乗っているシフトカウンターを利用できる能力のカードもあります。多少リソースポイントを消費しますが、いつでも出られるよう場に目を利かせつつ、ゲーム外から効果を発揮するというのは相手にとってかなり厄介です。
 加えて、微細な付記が色々あります。まずシフトの能力はプレイヤー(とプレイヤーが使用する効果)によって無効化されません。シフト状態から場に出たカードはリクルート同様ユニークチェックを行います。シフト状態のカードは自分のコストより多くシフトカウンターを持てません。2と3の能力はシフト状態のカード全てが持ちます。自発的にシフト状態になれるのは自分の能力でシフトを持っているカードだけですが、他のカードの効果でカードがシフト状態になることもあるので。
「Marvel Evolution」ではかなりの数のキャラクターがシフトを持っています。それらは主に時空間移動能力やパラレルワールド出身のキャラクターたちで、それらしい雰囲気もバッチリ。かなり大きくゲーム戦略に影響を与える要素なので、我々のVSシステム東方セットにも導入を考えています。第3弾は旧作キャラを大きく取り上げる予定なので、シフトが似合う連中ばっかりですから。