VSシステムセット紹介「Marvel Evolution初見レビュー:チーム戦略編」

 今回のメインチームは「Xファクター(X-Factor)」「Xフォース(X-FORCE)」「エグザイルス(Exiles)」「ウェポンX(Weapon X)」「マローダーズ(Marauders)」の5つです。他には独自戦略を持つ大小幾つかのサブチームがありますし、Xスタティクスやスコードロン・スプリームやスクラル(当然どこにでも潜んでますから!)など懐かしいチームのカードもちょこちょこ追加されてます。

  • Xファクター

 Xファクターは80年代にスタートした派生シリーズで、最初はサイクロップスら当時現役復帰したX−Men初代メンバーによるチームでした。その後90年に彼らが本家に合流してから再編成され、ハボック・ポラリス・フォージらが指揮する政府管轄のミュータントチームになります。
 上からの命令に従って白黒つかない微妙な任務を続け、時にはミスティークやセイバートゥースらとも手を組む路線は、初期はライターのブラックな作風が発揮されて面白かったのですが、後期はかなりグダグダだった印象です。
 こういった経緯からチームにはX-Menの古参メンバーを多く含みますが、今回のセットのもう半分はマルチプルマンがリーダーの現行シリーズで、市井のミュータント社会のトラブルと戦う探偵屋たちの組織になっています。
 ゲームでのXファクターはエナジャイズ能力が中心で、防御を固めつつのコントロール向きという印象です。レジェンドキャラクターのサイクロップスは、オプティックブラストで敵をがんがんエグゾーストできます。もう一人のレジェンドキャラはマルチプルマン、増えるわレディするわカードは引くわで、もう一人でアーミー戦略を成立させています。

  • Xフォース

 Xフォースは元々は「ニュー・ミュータンツ」という、若いミュータントをX-Men発足以降にエグゼビア教授が集めて教育・指導していたチームでした。いわばX-Men予備軍だったわけですが、80年代にX-Menメンバーたちが離散してしまっていた時期に突然現れた謎の男、ケーブルによって再編され「Xフォース」と改名します。
 自分の計画への必要性から子供たちを軍隊教育してきたケーブルでしたが、共に戦い互いに信頼を築いた後は、バックアップの役割に務め、若者たちは自立して独自の路線を歩むことになりました。これがやや独立愚連隊気味のミュータントチーム、Xフォースの歴史です。この後シリーズ誌を引き継いだのがXスタティクスだった縁で、今回のセットではそちらのキャラも参加しています。
 Xフォースのチーム戦略は『攻撃中にプロットツイストがプレイされると能力が起動する』です。若者らしく攻撃的偏重のキャラが揃っており、ビートダウンにはかなり有望です。コモンの専用プロットツイストも多く、リミテッドでも構築戦でも使いやすいチームです。
 でもレジェンドキャラクターのケーブルだけは浮いてます。まぁ大抵別行動してましたしね……シフト能力に加え場とシフト状態を行き来する能力は、戦略面でも今回の各チームをつなぐキーキャラクターとなっています。

  • エグザイルス

 エグザイルスは時空と歴史からはじきだされてしまった、流れ者ミュータントたちの集団です。ブリンク、ミミック、モーフなど、自分が存在していた歴史や次元が消滅したり『なかったこと』になってしまった彼らは、パラレルワールドをさすらいつつ、自分たちが存在できる世界を求めて戦っています。
 今回は時空を超えた敵との戦いのため、エグザイルスにも様々なパラレルワールドからの参加者が加入しています。バージョンにも「Earth-xxxx」というように数字が振られていて、敵も味方も本来の歴史の姿とは違う連中ばかりです。
 エグザイルスのチーム戦略は当然シフトです。3人のレジェンドキャラクターも、シフト操作能力のブリンク、キャラクター能力をコピーするミミック、変身能力で臨機応変なボードコントロールが可能なモーフなど、フレキシブルな戦略が持ち味です。シフトをテーマに他のチームと連係する動きが期待できます。

  • ウェポンX

 かつてウルヴァリンセイバートゥースらを作り出した超人兵器プロジェクト「ウェポンX」。実はストーリーではこの『X』はローマ数字の『10』のことであり、その起源は第二次大戦中のキャプテン・アメリカに遡り、現在でも秘密裏に進行していた対ミュータント生体兵器研究であったことが明らかになっています。
 今回のウェポンXは、ウルヴァリンデッドプールX-Menシリーズで御馴染みのキャラの他にも、新旧ウェポン・各ナンバーの人造超人たち、さらにはパラレルワールドの被験者まで多くのキャラクターが収録されています。とにかくほとんどがハンターかつ潜伏ですから、危険なことこの上なし!
 チーム戦略はハンター能力が中心ですが、シフトを持つキャラも多く含まれています。複数チームを持つキャラいるので、構築戦では単独の戦略を完成させるためにもチームアップが有望に思われます。レジェンドキャラクターはウルヴァリンデッドプールです。あと何気にスコードロンがあっち世界の超人兵器として混じってます。

  • マローダーズ

 ミュータントを超えた超種族誕生の野望を抱き、産みの親のアポカリプスから離反して策謀を重ねてきたX-Men世界の黒幕、ミスター・シニスター。そのシニスターが収集したミュータントによる軍団がマローダーズです。かつてモーロックに対し大虐殺を行った冷酷な殺人者たちですが、彼らは遺伝情報を元にシニスターによって何度でもクローン生成されるため、自らの死すら恐れない危険な集団でもあります。
 マローダースのチーム特性は『相手がスタンしているキャラクターをコントロールしていると能力が起動する』です。血の匂いを嗅ぎ付ける連中のイメージを上手く再現しているし、モーロック相手にはやたら強い(笑)。シンプルな能力で利用できる機会も多いので、リミテッド戦ではなかなか安定した強さが見込めます。
 レジェンドキャラクターの3人は、かなり特殊なコントロール傾向を持っています。ミスター・シニスターはカウンターなど相手カードプレイの操作。ミスティーはコピー能力を利用した場のコントロール。そしてX-Menからの裏切り者ガンビットはドロー操作とキャラクター除去を担当。見事に分業してますけど、レジェンドキャラを多数入れるデッキは構成が難しいので、多分どれかのボスを中心にしたデッキパターンになるのではないでしょうか。そして任意のキャラクター名に化けられるミスティークの利用はかなり夢が広がる……

  • アポカリプスの騎士(Horsemen of Apocarypse)

 ここから中少のサブチームの紹介です。アポカリプスの騎士はUDEポイントプロモの「Age of Apocarypse」シリーズで登場した、アポカリプスの配下たちです。度々アポカリプスは黙示録の四騎士(『死』Death、『戦争』War、『疫病』Pestilence、『飢餓』Famine)にちなんで配下を選んでおり、今回も様々な次元のX-Menキャラクターが操られているようです。
 今回はサブチームながら独自の戦略路線があります。まず各騎士がシフト持ちで、ゲーム外のシフト状態のときにカウンターに応じて能力を発揮するようにデザインされています。まるで裁きの日を待つかのように。そしてそれぞれ専用プロットツイストが存在し、ゲーム中に1回づつプレイしていればコスト0でアポカリプスをリクルートできるカードもあります。これはドラゴンボールを集める日がきたか!?

  • スタージャマーズ(Starjammaers)

 かつてはシャイア帝国の暴政と戦う反乱軍だった宇宙海賊スタージャマーズ。シャイアに拉致されて家族と引き離されたサイクロップスの父親であるコルセアが組織したチームでしたが、シャイア現女王のリランドラが即位してからは友好関係を保っており、地球外におけるX-Menの重要な協力者です。
 スタージャマーズのチーム戦略は手札破壊。ですが、相手の手札を減らすのが目的というわけではなく(今のVSにはかなりカードを引けるチームは多いので)敵のカード使用を妨害したり、ディスカードを起動条件にした別の効果を利用したり、別の方面で利益を得る作戦のようです。さすがは海賊。そしてなぜか(海賊つながり?)レジェンドキャラクターはナイトクローラーです。

  • ランナウェイ(Runaways)

 ランナウェイは出自もさまざまな若者たちが、共に逃亡を続ける境遇を描いたシリーズです。マーヴル世界の色々な親玉たちから逃れてきた子供たち……ゲームでは相手のデッキを削る能力と戦略で、逃亡の時間を表現しているようです。逃げて逃げて、最後にはゲームに勝って自由をその手に!!

  • ピュリファイアー(Purifiers)

 反ミュータント主義者ストライカーに従う狂信者たち、それがピュリファイアー(浄化者)です。これは映画「X-Men2」の下敷きになった80年代の名エピソード「God Loves, Man Kills」を、当時のライターが映画のイメージに合わせて描いた続編に登場した集団です。
 映画通り親玉のストライカー、レディ・デスストライク、アーミーの3枚しかいないチームか……と思いきや4人目のキャラがいました。センチネルの頭脳、バスチオンです。バスチオンは普通にアーミーを使う能力でしかも強いので、むしろピュリファイアーはセンチネルの下部チームなのかも。